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中京大学心理学部ので開講しているゼミのご紹介

研究室(ゼミ)の概要

Q.どんなゼミ?

認知行動療法に基づく研究を行っています。認知行動療法は、考え方(認知)と動き方(行動)にアプローチすることで、生活の困りごとを解決する支援をする心理学的支援法です。認知行動療法は、エビデンスベースドな心理療法であり、科学的に検証された理論や方法を使い、カウンセリングなどで支援を行います。

Q.どんな研究をしている?

​指導教員の研究テーマ紹介

青年期の反すうがトランジションに及ぼす影響と反すう低減心理教育プログラムの開発

​反すうとは、ゆううつや不安といった感情に対する半ば無意図的な反応の一種であり、その感情や関連する出来事、自分や他人のこと、過去や将来のことについて、その意味や原因、結果を繰り返し考え込む思考のことです。簡単に「ぐるぐる思考」と呼ぶこともあります。これまでの調査研究から、反すうは抑うつや不安症、その他の精神疾患やその症状を予測する心理的脆弱性であることが明らかになっています。さらに、反すうは青年期の発達課題である学校から就労へと移行する過程(トランジション)において、接近的な行動を妨げ回避的な行動を増やすことによって、トランジションの成功に必要な体験を経験する機会を減らしてしまい、結果的に抑うつを慢性化する可能性があります。

こうしたメカニズムに対して、反すうの2つの特徴が影響しているといわれています。

 

①反すうは「抽象的」なモードの思考である

反すうは、抽象的な処理モードの思考であるといわれています。​「抽象的」というのは心的表象のレベルの抽象度のことです。私たちは、同じ「犬」という物理的な物体について、「わんちゃん」と表現することもあれば、「私の家の黒柴」と表現することもできます。反すうは、この心的表現、すなわち思考内容が過度に抽象的であるといわれています。反すうは、出来事の意味や原因を解釈するような、ある1つの正解を探すような思考です。つまり出来事を「なぜ?」と解釈しようとする試みともいえます。抽象的な処理モードは物事を簡易に解釈して整理するのには役立ちますが、正解が見つからないような挑戦的な状況に直面している場合、いくら考えても結論を出せず空回りしていまうのです。さらに、抑うつ的な気分のとき、私たちはネガティブ方向に解釈を傾ける癖を持っています(ネガティブバイアス)。なので、反すうの抽象的な処理モードは、結果的にネガティブな内容についてただひたすらに議論する時間を増やしてしまうのです。

②反すうは「習慣」である

気づけば反すうに浸っていることも多いのではないでしょうか。反すうは意識的な努力をあまり必要とせずに浮かんでくるやっかりな思考です。その理由は、反すうが習慣として学習されていることにあります。習慣、いわゆるクセは、最初は意識的に行っていた行動がパターン化したものです。身近な例でいえば、歯磨きをするときの歯を磨く順番や、通勤・通学時の駅のフームや道の選択はおそらく習慣化していると思います。反すうは過去、特に子ども時代に厳しい環境で過ごす中で、繰り返し頭で問題解決をしようとした結果として習慣化した反応といわれています。そしてこの習慣は、特定の状況や刺激によって勝手に活性化してしまいます。反すうをよくしていた場所、例えばベッドの上やお風呂、通勤中の電車などでは、意図せずに反すうのモードに入りやすくなってしまうでしょう。「反すうは良くないと思っている」のに「やめられない」というのは、この習慣の影響が大きいのかもしれません。

以上の特徴に対して、反すう焦点化認知行動療法という心理療法を参考に心理教育プログラムを作成し、その効果を検証しています。

参考:抽象的な処理モードを具体的な処理モードへと練習して変化させる心理教育教材

https://youtu.be/-0EILTLCHsM

https://drive.google.com/drive/folders/1wTB_r9DS2_QauqZhQ4EOA9qkkU6XGja0?usp=drive_link

Kambara,K., Matsumoto,M., Hako, S. Shigematsu, J., Yokoyama, S., and Ogata, A. (2023). An  intervention to promote concrete thinking style in young adults: Effects on depressive symptoms and its protective factors. Journal of Behavioral Therapy and Experimental Psychiatry, 81, 101857.

参考:反すうの習慣を打破する心理教育プログラムの開発

​※現在論文執筆中

​ゼミ生の研究テーマ紹介

手法は横断的な質問紙調査にとどまらず、縦断的質問紙調査、経験サンプリング法、実験室実験、心理教育プログラムを用いたアナログ介入研究など、多様な手法で、ゼミ生自らの「問い」に立ち向かいます。

【研究テーマの例】

  • 反すうを減らせばスマートフォンの利用頻度も下がるか?

  • 反すう焦点化認知行動療法に基づく心理教育プログラムの効果検証

  • カスタマーハラスメントの体験を反すうが増幅するか?

  • 具体的な処理モードになれば先延ばしは減るか?

  • 慈愛の瞑想と慈悲の手紙によるセルフ・コンパッション介入が建設的な自己開示に及ぼす影響の検討

【指導学生の発表物等】

  • 中島匠・神原広平 (2024). セルフ・コンパッションは教職員の努力―報酬不均衡を抑制するか 日本教育心理学会第66回総会

Q.ゼミの方針は?

「ゆっくりコツコツ」

研究は取り組んでいけばいつかは終わりにたどり着きます。ただし、講義のテストのように、一夜漬けでなんとかできるものではありません。短距離走ではなく長距離走の課題なのです。焦って取り組む必要もなく、一歩一歩、コツコツを取り組むことが研究を進めるコツです。本ゼミでは、その方針にのっとり、コツコツと取り組む姿勢を励まし、支援します。

 

「コミュニケーションをとる」

一人で研究をすることはできません。コミュニケーションを上手に取れるのであれば言うことはないですが、多分苦手としている方もそこそこいらっしゃるでしょう。コミュニケーションを「とる」ことを目標に、みんなで話し合いやすい雰囲気を育めるようにサポートします。

Q.ゼミのスケジュールは?

【学部生】

基本的には講義のスケジュールに沿って、進めます。3回生(あるいは4回生以上)は、春学期よりゼミに参加し、研究の「問い(テーマ)」の探し方を学び、研究グループを結成します。翌年度の春学期からは本格的に研究計画を立案し、早いグループは研究を実施します。講義以外でも、外部の大学のゼミと合同での研究会や、学会活動なども積極的に推奨いたします。

【大学院生】

1年目の春学期中に卒業論文の学会発表を目指します。また、可能であれば査読付き雑誌への投稿を行います。並行して春学期中に大学院で行う研究テーマを固め、本格的な研究レビューを行います。1年目の秋学期からは公認心理師実習が本格的に始まるためかなり多忙となります。そのため、できるだけ早くテーマ決めをしておくことが必要です。大学院生にはテーマにもよりますが、研究を重ねることを心掛けていただきたいです。そのため、1年目の秋学期には倫理審査を完了し、実験や調査を開始します。そして、2年目の春学期中に結果の解析やまとめを行い、その成果を学会発表するとともに、2つ目の研究を実施します。昨今の国際情勢もありますが、可能であれば1・2年目のどこかで国際学会への参加も目指してほしいです。本学は学会参加への支援もありますので、積極的に活用してください。​

 

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